2013年4月25日木曜日

本日は広報委員会。
いい学生に入学していただくためのどう進めればいいのかディスカッションがあったりします

ホームページのデザインや、リンクのディスカッションもあり、確かに、公的なHPは、教授会マターだなあ・・・公的にオーソライズすれば、きちんと審議して時間がかかるし、キャッチアップを早くすれば、ミスも増える。

そういえば、昔、大ドジこいたことがありました。
HPなんて誰も知らない時代に、作っちゃったんですよね・・・


研究所の最初のHPは、「山家」のHP????・・・・90年代ネクスト


今みたいにエクセルでスカッと計算できたり
画像がスパスパ出来るはずもなく
グラフ一つ作るのにも、昔はたいへんでした
私の博士論文なんて、手書きの図も入っています

そんなある日、あまりの非効率に業を煮やして、お金のない、わが研究室にもミニコン(パソコンじゃないっすよ)が導入され、
やっと、方眼紙の手書きの図から解放されました。
科研費あたったんですか? さすが?
と、思っていたら、さにあらず、
昔々は、研究所では、年度末には必ず補正予算がつくので、年度ごとに順番で、三月ころ突然、「1週間で、お金使え?」なんてことがあったそうです。
酷い話です。

いまでは、もちろんこんなことはありません
経理さんに絞め殺されます。

まあ、昔は、こんなシステムだから、預け金その他の問題が発生して、いま、大学と業者さんが訴えられたりしていますね。
今でもこんなことをやっていては、当たり前でしょう。

それで、大型予算が来るらしいから、何とかしろ!
と、教授は助教授に丸投げ、
助教授は医局長に丸投げ、
んで、
実際の使い道を考えるのは、僕ら大学院生だったりするわけです

「まあ、少しデータをコンピュータ化しよう(言葉が古いっす)」
と、いうわけで、
工学の先生方たちと相談して導入されたのが
NeXT!
アップルを、おん出されたスティーブンジョブスが、作った会社のワークスステーションでした。

いや、当時としては、なかなかで、デザインもカッコよかったものでした
工学部の先生方も、人工心臓制御用システム同定に喜んで使っていたり、私も隙を見て、しこしこベーシックで変なプログラム書いたり、フラクタルの絵を描いたりしていました。

そんなある日、工学部の学生さんが
「山家先生! せっかくNeXTなんだからホームページ作ってみませんか?」
(NeXTは、システム開発の、そもそもから、ネットワーク仕様だった。これはハードディスクの技術が無く、キャノンなどから導入していたための苦肉の策と言われる『wiki』)
「へ? なんじゃそりゃ」
「いや、だから抗研ME(うちのこと)を宣伝するんですよ?」
「どこに?」
「インターネットに」
「え。パソコン通信?」
・・・当時はそう言う時代でした。

「面白そうだから、作ってみて」
「ホームページの名前どうしましょ」
「うん、僕のなら、山家のホームページ?」
「東北大にリンクしときますよ」
「ううん、東北大卒業したし、今度、助手になったから、いいんじゃない?」

などと、軽い気持ちで作っていたHPでしたが
そう言う時代なので、誰もそんなことを考える人がいません

ある日、工学部の教授の先生から
「先生、見ましたよ!先生のホームページ」
「え?」

どうやら、研究所で他にホームページを作る人がいなかったので
研究所の代表が、いつの間にかうちになっているらしく
それも「山家」のホームページになってる!!

???・・・さすがにこれはまずい!

そこで、あわてて
「心臓の悪い人の診療案内」と、いうことで、うちの関連病院の情報を紹介して、
「仙台厚生病院(当時は抗酸菌病研究所の附属病院でした)の循環器で火曜日に外来を見ておりますので、心臓の調子の悪い方はいつでもおいで下さい」
と、書き直し、研究所全体のHPも立ち上げていただきました(そりゃまあ大変)

厚生病院にも新しく部長の先生が来られて、救急を立ち上げるので患者集めに尽力しています
「先生、患者さん集めに、インターネットで案内だしては如何でしょう?」
「へ? なんだそれは」
(しつこいですが、そう言う時代でした)
「だからパソコン通信とかやっている方に宣伝するんですよ」
「ううん、そんな患者は神経質なうるさいのが多いだろ」
「まあ、コンピュータが好きな方でしょうからねえ」
「そんなの、いらん」
一言の元に却下されてしまいました

私も大学病院で外来を持つようになり、厚生病院からだんだん足遠のいていたある日
突然、厚生病院の院長先生から電話
「こんど、うちでも、病院のホームページを立ち上げようと思うんだけど・・・」
「だから、僕、初めからそう言ったじゃないですか」
「ううん、それはそうなんだが、時代が変わったから・・・」
「でしょ〜 宣伝に良いんじゃないっすか? がんばってください」
「それでだね」
「はい」
「仙台厚生病院、って検索入れると、どうも、山家君の名前しか出ないらしいんだよ」
「・・・」

しまった。更新忘れてた。

ぶん投げておいたので
結局、「抗酸菌病研究所」でも、「仙台厚生病院」でも、
前に作ってしまった「山家」のホームページに行くようになってしまっていたのでした

「すんません。すぐ削除します」
いやあ、ネットは恐ろしいなあ

2013年4月23日火曜日


医学研究におけるモデルの役割

1. 研究開発におけるプロトコール
 大学においても研究所においても動物実験を施行することは益々困難になりつつあり、「動物実験を行うくらいなら、人間の臨床試験の方がよほど簡単だ!」などと言う冗談まで囁かれる程である。
 勿論、動物実験は患者さんに応用する前に行われるものであり、治療効果を判定することは勿論、それ以前に、薬剤・医療機器の安全性・有効性などをチェックするために不可欠なものである。
 例えば薬剤などの開発研究・臨床試験では、まず、薬剤として応用できそうな候補物質の選定から始まる。カビを眺めながらペニシリンが発見されたりするような画期的でエポックメイキングな発見がなされることは流石に少なくなってきているが、それでも一部地域の土壌から発見された微生物の代謝産物から新しい抗菌薬や、免疫製剤が発見されることは少なくない。日本の薬剤メーカは一般に独創性に欠け、新たに開発される薬剤は少なく、欧米からの輸入が多いなどと囁かれて来たが、例えば高脂血症の治療薬などは日本で世界に先駆けて開発され、日本の開発力も見直されてきている。(1-6)
基礎研究として、これら多くの候補物質の物理的・化学的な性質が調べられた後、薬剤としての有効性を持つ可能性がある候補物質が定まれば、動物実験が開始され、安全性や有効性が検討されることになる。
2.動物実験モデルの持つ問題
この際、重要なポイントになるのは、候補物質の作用を確かめるために作成される疾患の動物実験モデルである。例えば抗生物質であれば、感染症のモデルがin vivo, in vitroで必要になる。培養で菌の増殖が抑えられればある程度抗生物質としての作用は証明できるが、生体に投与した場合の安全性はまた全く別の問題である。更に生体に投与した場合、感染症を起こしている組織への移行も問われることは自明である。従ってこの二つの問題だけでも動物実験モデルの存在は不可避になる。
しかしながら、動物も草食・肉食・雑食と種類によって解剖学的に構造そのものが異なるだけでなく、全く代謝系も異なり、人体のモデルとしては必ずしも的確でないことも多い。例えば日本で開発されたある高脂血症の薬剤は、動物実験では当初全く効果が認められず、開発が断念されかけたこともあった。しかしながら、その後、実験動物を変更したところ、著明な薬効が確認され、最終的に臨床試験でも従来にない画期的な薬剤であることが確認され、市場を席巻するに至った。
筆者らも販売された当初の循環器科の現場で日本からこれほど画期的な薬剤が開発されたことに驚愕した歴史を記憶している。それまではコレステロールの薬と言えば、何種類飲ませても、下がるんだか下がらないんだか・・といった状況が、「こんなに下がって大丈夫か?」という状況へ一変したのである。実際この危惧も必ずしも根拠がないわけではないことも後に述べる。
更に重要なことは、作成した動物実験モデルが、人間の病気の精密なシミュレーションになっているかどうかである。例えば心筋梗塞モデルを考えてみれば、病気の原因は、冠動脈の動脈硬化性病変が進行して血管が閉塞してしまうことであると報告されている。そこで、動物実験では動物の心臓を露出して冠動脈を結搾したりして、心筋梗塞のモデルや虚血性心不全のモデルを作成する(7,8)。
しかしながら、健康な動物の冠動脈を急速に縛り付けたモデルは、当然のことながら実際の人間の心筋梗塞とは異なる。
何回か狭心症発作の前兆を自覚していながら、忙しさにかまけているうちに、不安定狭心症の段階から、本格的な心筋梗塞へ至って救急車で来院する患者さんも多い。この場合、もう少し早く来てくれれば・・・という、思いはあるが、最近の研究ではこのような前兆が合った場合、心臓は、ある程度、虚血に晒されて、ある意味で準備段階から慣れてきているので、側副血行路が発達する十分な時間があることもあり、比較的予後が良いという報告も行われている。逆に、最初の発作が心筋梗塞でいきなり発症した場合は、壊死する範囲が大きく被害が大きいと報告されている。
心臓病を専門にする立場から言えば、全ての患者さんは全員が異なった病態を持っているのが当たり前である。PTCA(冠動脈形成術)のようなインターベンション手術を専門医する医師は、患者さんの顔を見ても全く何も思い出せないが、冠動脈造影を見たとたんに、既往歴から経過から手術の細かいプロトコールまで全て思い出す等と言うことはよく言われることである。これは、それぞれの患者さんが、似ているようでいながら全く異なる冠動脈像や病変を保持しているからでもある。
このように心筋梗塞一つとっても様々な病態があり、どうしても動物実験だけでは全ての患者さんのモデリングはなかなかに困難である。コレステロールが高くて器質的狭窄があり、何回かスパズムを起こし・・・などと言う動物実験モデルは製作が難しいことは勿論である。コレステロール値などに異常があれば、血液の粘性も異なり、そのモデリングも難しい。
従って、動物実験モデルは、複雑な病態のごく一部を抽出して作成したもので、当然ながら人間の病気とは全く異なっている部分も多い。
3.  臨床試験なら大丈夫なのか?
動物実験で効果と安全性が確認されれば臨床試験へ移行することになる.
例えば薬剤の開発において臨床試験は三相に分かれ、フェーズ1では、健康な成人志願者や特定のタイプの患者さんを対象に、安全性を確認する。フェーズ2では少数の患者さんを対象に、有効で安全な投薬量、投与方法、期間などを調べる。欧米で開発された薬剤が体格の小さな日本人にそのまま有効であるかどうかはここでの検討が重要であり、欧米で画期的といわれた薬剤が日本では全く効果が確認されない場合、フェーズ1での安全性を重視する余り、十分な有効血中濃度に達しない分量で認可されてしまった場合がある (1-6)。
最近流行のevident based medicine (EBM)のメガスタディでは数千数万を対象として10年単位のフォローアップ調査を行うが、欧米のメガスタディの成績が日本では当てはまらない場合、分量の問題がよく問われることになる。これはこのフェーズ2で適切でない分量が設定されてしまった場合に頻発する。しかも、この問題は市販された後に10年単位で初めて明らかにされる事実であるだけになかなか厄介でもある。
フェーズ3では、より多くの患者さんを対象に、候補薬剤と既存の薬剤またはプラセボと比べて、有効性や安全性に関する最終確認を行う。特に問題になるのはこの「従来の薬剤と比べて・・・」であり、統計的に効果が差がなかった場合に認可が下りないという問題である。代謝経路における作用部位が同じであったり、作用機序が似た薬剤であった場合、従来の薬剤とは効果に統計的有意差が出ないことも良く起こり得ることは勿論であり、ことここに至って十年単位の開発が、認可が下りずに全く無駄に終わる可能性も高い。そこで、今度は先ほどと逆に、薬剤の効果を強力に出すべく、より血中濃度を上げるために含有される分量の多い製剤を開発する場合もある。その場合、従来の薬剤より効果は出ても、先ほどとは逆に今度は長期フォローアップのメガスタディで作用が強すぎる等の問題が出てくる場合もある。
日本で開発された高脂血症の薬剤は、その強力な効果で全国の医療現場に驚愕を持って迎えられたが、コレステロールは確かに強力に下げ、更にその作用によって心血管イベント(心筋梗塞などの心臓血管系の動脈硬化によって発生する病態)も有意に減少させたが、最近のメガスタディでは、それが必ずしも死亡率の減少には結びつかないなどの報告も散見されるようになってきている。
すなわち患者さんのコレステロールを余り下げすぎれば、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患は確かに減少させても、それが、他の疾患の発生に結びつく可能性も指摘され始めているわけである。順番こそ多少前後しても、欧米でも日本でも、主たる死亡原因の大きな部分を占めるのは心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患と並んで悪性腫瘍が重要である(9-12)。ここから、あるいはコレステロールの低下療法と悪性腫瘍の関連性の可能性が指摘され始める根拠ともなっているが、細かい経路にはまだ諸説もあり異論も多く、定説には至ってはいない。
ここで強調しなければならないことは、臨床試験で効果が確かに確認された場合でも、本当の判断は市販後の長期フォローアップやメガスタディを待つ必要があることである。
すなわち、基礎研究から、in vivo, in vitro, 動物実験だけでなく、臨床試験におけるフェーズ1x3の精密な検討も、ある意味では疾患モデルの研究に過ぎないとも言える。本当の対象は、疾患を持つ全患者であり、ここに至るまでの検討は、すべてある種のモデルを想定した研究に過ぎないと考えることも出来るわけである。
治療薬剤の開発を対象に、基礎から動物、臨床試験に渡るまでのモデルの役割について検討してみたが、対象を医療機器に移してモデルの役割に着いて振り返ってみたい。
4.      医用工学研究におけるモデリング
動物実験が困難になりつつある現在、現実に疾病のモデルを作成する方法論は益々重要になりつつある。モデリングには循環系を模擬した電気回路モデルや、数式のシミュレーションなど種々のものが報告されている。
最近、東北大学では流体力学の数学的計算からカルマン渦の流線を計算し、現実の流れの可視化のデータと比較完投して良好な一致を得ているが、正確なシミュレーションを具現化するために、実際の計測データをフィードバックする方法論の開発を試みている。現実のデータを一点でもフィードバックできれば、シミュレーションの正確性が飛躍的に向上することは勿論である。
例として動脈圧反射の数理電気回路モデルから動物実験モデルにおけるシミュレーションを例示し、その結果の臨床データへのフィードバックを試みているので概述する。
5.      血圧反射の数理モデル
 左心循環系の電気回路モデルには単純なものではウインドケッセルモデルが用いられることが多い。抵抗とコンプライアンスからシンプルな左心循環を具現化するモデリングの方法論である。
 これに、フィードバック回路としての血圧反射モデルを負荷して図示する。

この数理モデリングは、Cavalcantiらの96年の報告を元に(13)、東北大で改良されたモデルである。このモデルにおいて血行動態の時系列間における相互作用にシグモイドカーブを模した非線形性を導入したのが特徴になっている(14)。
 この電気回路モデルによるシミュレーションでは興味深い現象も観察されている。
 例えばこのフィードバック回路の血圧反射における遅れ時間を短く設定すれば、心拍変動や血圧などの血行動態の時系列データは一定値に収束する定置制御型の時系列曲線を示す。血圧反射はホメオスタシスを示す代表的な制御機構であり、この範囲ではこの現象が具現化している。
 ところが、この遅れ時間を長くしていくと興味深い現象が観察される。
 時間遅れを長くしていくと、まず時系列曲線の発振が始まる。フィードバックのコンセプトを考えてみれば、血圧が上がれば、反射により心拍数が下がり、心拍出量が下がるので結果として血圧が下がる。これを繰り返せば、当然のことながら、フィードバックの繰り返しはサインカーブのような発振を繰り返すことになる。
 ところがこの時間遅れを長くしていくと、この発振は二つの周期を持つ時系列曲線となりやや複雑な時系列が得られる結果となる。更に遅れ時間を増加させていくと、結果としては決定的カオスの存在を示唆する複雑な時系列が得られる結果となる (図4)。
 これは、電気回路モデルを元にした数理科学シミュレーションから得られた結果である。この結果は先ほどの薬剤開発プロトコールに準じて考察すれば、次に動物実験でこの結果を確認する必要があることになる。
6. 人工心臓動物実験モデル
 原理を正確にシミュレートすることは、残念ながら動物実験で容易であるはずはない。原理が精密に決まっていればいるほど、それを再現することは困難に陥る。
 例えばここでシミュレートした血圧反射を、動物実験で再現しようとすれば、心拍数を変えるだけでは純粋に現象を抽出できない。ペースメーカを用いて心拍数を変えても、動物の心臓は液性因子の影響から独立ではありえないし、そもそもペーシングによる収縮自体が自然なものではない不自然さが残存している。ペーシングリードの位置により、収縮のダイナミクスの形態が異なってしまうのである。 
 理想的に原理を抽出できうる人工循環の臓器としては人工心臓が存在する。
 そこで、人工心臓を用いた動物実験で、血圧反射をシミュレートすると言う方法論が考えられると言うことになる。
 図に示すように、両心バイパス型の人工心臓で実験を行えば、心臓のダイナミクスは生体から完全に独立させることが可能になるので、理想的なシミュレーションが具現化する。
 その結果、電気回路シミュレーションの結果と同様に、血圧反射が時系列にカオス的ダイナミクスをもたらすことが観察された。
 このように、様々なモデリングの結果から、血圧反射フィードバックが生体のカオス的ダイナミクスに大きな役割を果たしていることが確認された。
7. 臨床データへの応用
 血圧反射系が最も傷害された病態生理を考察してみれば、その病態は血圧制御の破綻と言うことになる。すなわち、血圧反射系の破綻は、結果として「高血圧」の病態を形成することになる。破綻した血圧反射系では、血圧が上昇しても、心拍数が減少するシステムが働かず、心拍出量が低下しないので、結果として血圧は高い値に放置され、高血圧になることになる。
 血圧反射は循環動態を制御する最も重要なパラメータの一つである。従って血圧反射系が破綻すれば制御パラメータが一つ減ることになるので、循環動態の時系列の持つ情報量は結果として減少する。時系列の保持する情報量が情報量エントロピーで定量化できるものと仮定すれば、血圧制御系が破綻した循環動態では、時系列の持つ情報量エントロピーは減少していることになるはずである。
 カオス的な非線形ダイナミクスはフラクタル次元で定量化されるが、フラクタル次元の様々な計算法があり、情報量エントロピーから計算する方法論は情報量次元と呼ばれるが本質的には、どの方法論で計算しても数学的にはフラクタル次元は一致する。すなわち、非線形ダイナミクスの情報量の定量化にはフラクタル次元解析も有効な方法論の一つである。
 図にボックスカウンティング法を用いて計算した健常者のホルター心電図における心拍変動フラクタル次元解析の日内変動を提示する。
 日中の活動では様々な外乱が加わって変動が複雑化する影響もあり、一般に日中のほうがフラクタル次元が高い傾向が観察される。
これに対してある種の高血圧患者においては、その心拍変動のフラクタル次元が有意に低下している例もある。
この現象、血圧反射系のような心拍変動を規定する制御系が破綻し、心拍変動の時系列の保持する情報量エントロピーが低下傾向にあるための結果であると考察することができる。
この症例に対して、ある種の血圧制御系を改善する作用があると報告される薬剤を投与すると、血圧の改善とともに、ホルター心電図解析結果の心拍変動のフラクタル次元が回復する傾向が観察された。これは血圧制御系が回復することにより、情報量が複雑化する方向へ傾き、フラクタル次元の日内変動が回復した結果と考えれば矛盾なく解釈できる。
すなわち、電気回路モデルでは、血圧反射フィードバックの付加により、時系列にカオス的ダイナミクスが発生した。人工心臓動物実験モデルでは、血圧反射を模した人工心臓制御によりカオス的なゆらぎの発生が観察された。そして心拍変動では血圧反射系が障害されていると臨床的に判断された高血圧患者に薬剤加療を行ったところ、カオス的なダイナミクスが改善しフラクタル次元が増加傾向にあるのが観察された。
ある意味で数理モデル及び動物実験モデルによって臨床データがシミュレートできたことものと解釈できるものと考えられた。
モデリングという方法論にはもちろん限界もある。
本質的にトータルシステムの本質と思われる部分を抽出して作成した以上、モデルはあくまでもシミュレーションに過ぎず、現実の人間の病態の複雑性とは比較にならない単純なシステムに過ぎないという批判は否定しきれない。
数理モデルの単純性は議論の余地がない。動物実験モデルは動物が本質的に人間とは異なる代謝系を保持している以上、ごく一部のモデルにしかなり得ない。では、臨床データが正解かといえば、どんな膨大な臨床データも、全患者の標本の抽出に過ぎないので、必ずしも本質を突いていると保障しかねる側面は否定しきれない。例えば一部の抗不整脈の薬剤は、ある種の患者の不整脈は抑えるが、結果として投与患者の統計から、死亡率を上昇させることが判明して問題になった場合もある。これは一部の患者の症状を抑えるというサンプリングと治療目標のモデルの立て方が間違っていたとも解釈しえる。
 数理モデル、動物モデル、臨床モデルなどを駆使して、薬剤の開発や医工学機器を対象にモデリングについて解説した。限界をよく見極めつつ応用すれば、モデリングという方向性もまた医工学技術の発展に益するところも大きい有効な研究の方法論のひとつである。
文責:山家智之(東北大学加齢医学研究所)

References

1.Illingworth DR, Bacon S: Hypolipidemic effects of HMG-CoA reductase inhibitors in patients with hypercholesterolemia.Am J Cardiol.:Oct 30;60(12):33G-42G., 1987
2.Watanabe Y, Ito T, Shiomi M, Tsujita Y, Kuroda M, Arai M, Fukami M, Tamura A: Preventive effect of pravastatin sodium, a potent inhibitor of 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase, on coronary atherosclerosis and xanthoma in WHHL rabbits. Biochim Biophys Acta. Jun 15:960(3):294-302,1988
3.Yoshino G, Kazumi T, Iwai M, Matsushita M, Matsuba K, Uenoyama R, Iwatani I, Baba S: Long-term treatment of hypercholesterolemic non-insulin dependent diabetics (NIDDM) with pravastatin (CS-514). Atherosclerosis. Jan:75(1):67-72.,1989
4.Illingworth DR, Bacon S: Treatment of heterozygous familial hypercholesterolemia with lipid-lowering drugs.Arteriosclerosis. :an-Feb;9(1 Suppl):I121-34. ,1989
5.http://homepage1.nifty.com/revolt/yougo.tiken.html
6.http://www.kier.kyoto-u.ac.jp/~arigagroup/HEC/2001/HEC2001(yamada).pdf
7.Fozzard HA: Validity of myocardial infarction models. Circulation. Dec;52(6 Suppl):III131-46. ,1975
8.Daniel TM, Boineau JP, Sabiston DC: Jr. Comparison of human ventricular activation with a canine model in chronic myocardial infarction. Circulation. Jul;44(1):74-89. ,1971
9.Vatten LJ, Foss OP: Total serum cholesterol and triglycerides and risk of breast cancer: a prospective study of 24,329 Norwegian women. Cancer Res. 50 : 2341-2346, 1990.
10.Larking PW: Cancer and low levels of plasma cholesterol the relevance of cholesterol precursors and products to incidence of cancer. Prev Med. 29 : 383-390, 1999.
11.Williams RR, Sorlie PD, Feinleib M: et al: Cancer incidence by levels of cholesterol. JAMA. 245 : 247-252, 1981.
12.Rywik SL, Manolio TA, Pajak A, et al: Association of lipids and lipoprotein level with total mortality and mortality caused by cardiovascular and cancer diseases. Am J Cardiol. 84 : 540-548, 1999.
13.Cavalcanti S, Belardinelli E: Modeling of cardiovascular variability using a differential delay equation. IEEE Trans Biomed Eng. : Oct;43(10):982-9, 1996
14.Yambe T, Yoshizawa M, Tabayashi K, Nitta S: Searching for the origin of chaos. In: M.Akay ed. Nonlinear Biomedical Signal Processing, IEEE EMBS book series pp 40-72. 2001
special thanls to
Ms. Yoko Ito and Mrs. Hisako Iijima

―21世紀COE産学協同医工学研究により加齢医学の国際共同研究体制確立へ

加齢医学研究所、スモレンスクステートメディカルアカデミーと
学術協定を締結

 


 保健医療の統計において、大変興味深い現象が進行している地域があります。
 ロシアでは、90年代初頭から平均寿命が年々減少していますが、これは戦争がない時期の欧米においては歴史上例がない極めて興味深い現象です。様々な原因が考えられますが、総人口における約55%が心血管イベントで死亡すると言う統計は重要です。また経済上の問題により高額な医療費が要求される薬物療法が制限されている要因も大きいものと考えられます。
 図にロシアにおける千人あたりの死亡率と出生率を提示します。死亡率が出生率を上回り、人口が減少に転じています。

図1 ロシアにおける出生率死亡率の年次変化

 さて、翻って本邦においても食生活の欧米化に伴い、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症などの動脈硬化性疾患が増加傾向にあります。これらの心血管イベントの発生は、生命予後を制限するだけでなく、高齢者のQOLを大きく妨げています。更に重要なのは経済的な問題です。国民経済における縮小傾向は、高齢化社会の到来に伴って近い将来に予測される人口の減少が重要なファクターとなって行く事は容易に予見できます。
 この三月に施行された国民医療費の三割負担が、病院医院の外来診療に大きな影響を与えたことは、医療現場の前線で外来に携わる医師の実感です。今回は三割負担でしたが、保健医療が財政を圧迫しつつければ四割五割と進んでいく可能性も否定しきれないものと考えられます。
 すなわち、近い将来に、人類史上例がないスピードで人口構成の高齢化が進み、かつ、医療経済の限界が目の前に迫っているというのがわが国の現実です。経済の破綻が医療現場を直撃することは、ロシアの現実が証明しています。
 地域によっては、「薬が高いので・・・」という患者からの声が、既に外来の担当医を困惑させ始めています。確かに長期予後に効果のあることがメガスタディにより示唆されている新薬でも、患者さんが経済的に購入できなければどうしようもありません。このような経済問題は、既に現在ロシアで進行している現象でありますし、今後日本で到来することが予測される現実とも言えるかもしれません。
 両国における動脈硬化などに関する保健医療の研究はある意味で愁眉の急とも言えるでしょう。経済学的により生命予後に優れた薬剤インターベンションへ向かわなければ国家経済がそれを負担しきれないことは、今年度の保健医療の改正でも明らかです。より安価な薬剤でより大きな統計学的な効果が望まれていくのは自明でしょう。そのためには、動脈硬化の長期予後に関する多国間の統計学的研究は不可欠になって行きます。何より、既に現場の患者の声がそれを証明しています。
 そこで、日露協同で動脈硬化研究へ着手しようという発想に至りました。
 スモレンスクは、モスクワの西約300kmの中堅都市であり、スモレンスクステートメディカルアカデミーはロシアの西側領域における唯一の医師養成期間、医学研究機関です。ちょうど帝国大学時代の東北帝国大学医科大学のような存在に当たるとも言えるかもしれません。古くはロシアの前身であるモスクワ大公国と覇を競ったスモレンスク大公国の首都で、東欧における覇権争いで最終的にはロシアに編入された歴史を持ちます。
 スモレンスクもある意味でロシアの現況を典型的に体現する地域で、総死亡に於ける心血管イベントの占める割合は59%を超え、そのほとんどが虚血性心疾患です。経済学的な限界と高齢化社会を迎える日本にとって極めて興味深い保険医療分野におけるフィールドと言えるかもしれません。
 そこで、加齢医学研究所と、スモレンスクステートメディカルアカデミーは、加齢医学研究における国際共同研究体制を確立するべく、学術協定を締結する運びとなりました。
図2 スモレンスクステートメディカルアカデミーのビクターAミラーゲン副総長と、
加齢医学研究所の帯刀益夫所長

 2003718日、加齢医学研究所大会議室において、学術協定の調印式が挙行されました。
 スモレンスクステートメディカルアカデミーからは、副学長の、ビクターAミラーゲン教授と、同じく研究担当副学長のニコライAファラシューク教授が来日され、加齢医学研究所の帯刀益夫所長とともに調印式が行われました。
 調印式の事務手続きに当たって奔走していただいた本郷事務長、丸本庶務掛長に深謝いたします。


図3 学術協定のサインを行うビクターAミラーゲン副総長と、帯刀益夫所長、
調印式を撮影する丸本庶務掛長。

 調印式の後、加齢研シンポジウム並びに21世紀COEバイオナノテクノロジー基盤未来医工学のバックアップを得て、日露協同国際医工学シンポジウムが開催され、活発なディスカッションが行われました。
 更に翌19日には、仙台市内の第1線の病院医師、開業医などを集めて第1回東北脈波情報研究会が開催され、本邦における最新データとともにロシアの動脈硬化の現状について講演が行われました。
 加齢医学研究所とスモレンスクステートメディカルアカデミーは、特にロシアでは主たる死亡要因であり、日本でも最近増加が著しい動脈硬化性疾患にフォーカスを置いて、既に共同研究のプレリミナリースタディを開始しています。
 動脈硬化においては様々なパラメータが応用されていますが、最近開発された脈波伝播速度の簡易測定装置は、血圧測定用のマンシェットを巻くだけで極めて簡便な定量的な測定が具体化するので、急速に開業医から病院までの実地医家に普及し始めています。若干のコミュニケーションギャップが不可避になる国際共同研究においては再現性のある簡便の方法論がデータ収集に不可欠になります。そこで、小規模なプレリミナリースタディから研究を開始いたしました。
 その結果、両国における加齢に伴う動脈硬化進展の様式が有意に異なることがわかり、加齢医学における興味深いデータが次々に得られるようになりました。


図4 脈波伝播速度の加齢変化の日露比較、ロシア人のほうが動脈硬化の進展が早い。

 図に提示するように、日本でもロシアでも、加齢に伴って脈波伝播速度は増加傾向にあります。年齢層別に比較すると、早くも四十代前後には、ロシア人では日本人よりも有意に脈波伝播速度が大きい傾向を提示するようになり、五十代にはこの傾向がますます拡大しています。
 すなわち、ロシア人は、日本人に比較して明らかに動脈硬化の進展が早いことが示唆されています。
 また、症例数が十分ではないので、数学的解析の段階と言うには限界はありますが、仮に直線回帰を行うと更に興味深い現象も示唆されます。
 すなわち、日本人でもロシア人でも直線回帰を行うと、ゼロ軸切片がほぼ一致します。これはすなわち、出生時においては日本人でもロシア人でも、ほぼ脈波伝播速度が一致すると言う事実を示唆する所見です。これは、誕生したときには日本人もロシア人も差がないのに、成長につれて両民族の差が開いていく現象を提示していることになります。
 両国における加齢医学を追求するのに興味深い基礎データといえるでしょう。
 どこで話を聞いたのか、ロシアのテレビ局、TVCが、この日露協同の脈波伝播速度を用いた動脈硬化研究のプロジェクトの取材に参りました。
 TVCのキャスターさんが、日本で開発された独自の脈波伝播速度計測装置で、動脈硬化の進展について自ら被験者になって取材していかれました。
 このキャスターさんは、ロシア人にしては意外と動脈硬化は進んではいなかったようですが、日本人に比べてロシア人の動脈硬化の進展が早いと言う我々の研究結果は、ロシアの視聴者にとってはたいへんショッキングであるとコメントして行かれました。



図6 ロシアのテレビ局、TVCによる日露国際共同研究の取材、
脈波伝播速度を計測されているのはキャスターのネカニエフAアレクシービッチ氏

 このように脈波伝播速度によって計測される動脈硬化の変化においてもたいへん興味深い現象が観察されています。
 この研究は民間との共同による産学共同研究によるもので、昨年採択された東北大学の21世紀COE:バイオナノテクノロジー基盤未来医工学では、医学工学協同によるこのような産学協同や、国際共同研究を積極的に推進しています。
 現在、更にこのような新しい方法論から新しい診断法の開発へ結びつけるべく研究が進められており、加齢医学研究所には新しく産学協同研究のための寄付部門が設置されました。
 今後更に幅広い分野で、国際学術協定を生かす形で更に積極的に共同研究を推進し、両国における加齢医学の発展に大きく貢献していきたいと考えています。

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2013年4月14日日曜日

2005のHP.サイトリニューアルでいろいろ消える



Welcome IDAC ME Home Page !!
Department of Medical Engineering and Cardiology,
Institute of Development, Aging, and Cancer, Tohoku University
English version is here
私たちの研究室は循環器の臨床と研究を行っている研究室です。研究としては人工心臓の開発研究や臨床応用、超音波やカオスの研究を行い、医学部附属病院では心臓血管外科のペースメーカ外来や病棟、カテーテル検査、術中超音波検査などを担当し、県内の多くの病院とタイアップして診療活動を行っております。興味のある方は是非一度見学に来てください。

私たちの研究室ではこんな研究を行っています。

It's new!

平成16年7月31日、東北脈波情報研究会。盛会のうちに終了第4回宮城循環器シンポジウム、盛会のうちに終了。第15回心不全治療研究会、盛会のうちに終了第18回ITEセミナー終了研究所連携シンポジウム、大盛会のうちに終了加齢研MEは東北大学祭に協力しました。バイオナノテクノロジー人工臓器研究会発足!
小型人工心筋
心臓血管系における老化抑制の研究映像視聴覚刺激に対する生体反応は心理スケーリングに依存する。加齢医学研究所における華麗なる医工学共同研究体制
人は何故攻撃するのか?
高次脳神経機能における心理特性と画像への反応
97年ポケモンショック事件、児童の発作の有無を分けたのは?
(BiomedPharma JpnJApplPhy)医学研究におけるモデリングの役割メディカル応用マイクロナノテクノロジー
中枢神経系高次機能非線形解析
脈波伝搬速度 PWV: pulse wave velocity
心機能のゆらぎ
ゆらぎとカオスによる自律神経機能解析
経皮的冠動脈形成術(PTCA)

コンパで生まれた人工肛門括約筋
完全埋込補助人工心臓と経皮エネルギー伝送システムの慢性動物実験

加齢研・病態計測へようこそ

正式名称は、東北大学加齢医学研究所病態計測制御研究分野及び東北大学大学院医学系研究科・内科学系・病態計測制御分野 す。
めんどくさい人は加齢研MEとでも、呼んでください。


教授       Professor
山家智之    Tomoyuki Yambe, MD, PhD, yambe@idac.tohoku.ac.jp
助教授     Asscictate Professor
西條芳文 Yoshifumi Saijoh, MD, PhD, saijo@idac.tohoku.ac.jp
助手       Instuructor白石泰之 Yasuyuki Shiraishi, Ph.D.,
JST派遣研究員    Post dotral fellow関根一光   Kazumitsu Sekine, PhD
21世紀COE研究員    Post dotral fellow王慶田   Wang Qusintian
博士研究員    Post dotral fellow劉紅剪 Liu Hong Jian
渡辺誠 Makoto Watanabe
山口佑   Tasuku Yamaguchi
柴田宗一  Mune-ichi Shibata 

亀山剛義 Takeyoshi Kameyama
山口佑   Tasuku Yamaguchi
柴田宗一  Mune-ichi Shibata 
秘書Secretary
大崎麻衣子
実験担当
菊池公男 Kimio Kikuchi

 この研究室では人工心臓の開発をはじめとする様々な人工臓器の研究、循環器病学の治療や診断等の研究や、カオス力学をはじめとして自律神経機能の研究も行われており、最近のポケモンショックの問題でも話題になりました画像刺激の生体影響調査も通算のプロジェクトに参画して行って参りました。
 人工臓器として人工心臓研究には三十年以上の開発研究の蓄積があり、最近では、人工心筋、人工括約筋、人工食道などの開発研究や、全国の6大学が結集しての波動人工心臓プロジェクトなどに参画しています。
 この研究は臨床研究にも応用され、ホルター心電図のカオス解析の研究などにも結実しています。附属病院における診療活動を通じて臨床研究も活発であり、研究室の友人達とも言える県内の循環器専門病院とタイアップして幅広く臨床活動や研究を試みています。臨床の分野では、超音波診断学の研究は当教室の伝統ある研究分野であり、心臓超音波断層法は、世界で初めて我が研究室で前教授の田中元直名誉教授の開発されたものです。
IT=電子医学
画像に対する生体反応
加齢現象の制御
可愛い女の子を見るとドキドキする人工心臓人工括約筋
貴方の体の中のカオス

第31回人工心臓と補助循環懇話会第41回日本人工臓器学会第1回東北大学医工学シンポジウムPDE阻害薬と強心作用
完全埋め込み型人工心臓の現状画像に対する病的反応は、心理傾向に依存する。人工心臓構成要素の研究発展
政府のe-Japan計画に対するパブリックコメント頭の良くなる人工心臓!
医局便りはこちら 
伊達四十八館はこちらを


The name of this laboratory is Department of Medical Engineering and Cardiology, Institute of Development, Aging and Cancer (IDAC), Tohoku University.

Artificial Heart Research Program in Tohoku Univ. were performed in this department. Deterministic chaos & fractal theory concerning medical field were also studied in this department, especially in the field of Cardiology. Clinical studies of the interventional therapy and ultrasonic cardiology were performed in the various hospitals in this prefecture.

*       論文リスト list of publication
*       他へのリンク

If you want to link our home page, please do anytime OK
どこかからリンクしたい方、いつでもどうぞ? yambe@ idac.tohoku.ac.jp にちらっと教えてもらえるとうれしいです。

人工心筋

伊達四十八館


伊達四十八館ってご存知ですか??

奥州伊達藩62万石は、加賀薩摩に続く海内第3位の大藩であり、
(というのは、お国自慢の好きな仙台人が必ず話す枕詞ですが、、)俗に
「裏高250万石!?!」とまで言われ、
一時は江戸の町民の食するコメの、実に半分近くが伊達米である?、
とまで称されたそうです。

幕末には、三万三千八百人の家臣陪臣を抱える巨大組織となり、、
その分小回りが効かずに、
維新に乗り遅れたとも言われていますが??・・・・・・
昨年は機会があって鹿児島を訪れましたが、薩摩では逆に、77万石にされたのは、関が原で賊軍だったために徳川から押し付けられた石高で、実際には山が多くて米なんぞ取れる土地柄じゃないのに、、なんと、精米前の玄米の量で石高を決められ、、多めに石高を見積もられて、その分の債務を増やされたと・・・
未だに関が原の恨みが残っていそうで、、
流石に日本を征服した薩摩・長州という勢いを感じたものです、、、

さて、戦国時代には、それこそ海内有数の軍事国家で在った筈の伊達藩、、
その首都である仙台のサテライト防衛機構が伊達四十八館であります。

 地方知行制

 伊達48館 

 青葉城の秘密

 要害所・在所

 郡別石高


伊達四十八館 仙台藩の四十八館と呼ばれる藩内の統治体制は、
中世的封建制度をそのまま制度化したもので、地方知行は、江戸幕府の小型版とも言える。

すなわち、江戸幕府は地方の三百余りといわれる大名を統括し、
仙台藩は、家来に知行地を与え、藩全体を統括する。
知行地においてはそれぞれの家臣は、その地方においては「殿様」として扱われるわけで、
事実、海内一の経済力を誇った伊達藩は、その藩内だけでも、一万石を越える大身の家臣を数多く抱えていた。
それらの有力家臣は、平時には、地方の殿様として政治を行って領民を慰撫しつつ、
一旦緩急あれば、それぞれの支城は、仙台城のサテライト防衛線として機能することはもちろんである。

加齢研MEと、ゆかいな仲間たち


加齢研MEのお友達循環器病院

加齢研MEのお友達の循環器専門病院

Friends Hospitals of Dept. MEC, IDAC, Tohoku Univ

If you feel chest pain, palpitation or some other chest discomfort feeling, please visit below Hospital
胸が締め付けられる痛み、特に、最近発作が出現した方や、最近発作が多くなった方は、不安定狭心症の疑いがあります。心筋梗塞の前兆であることもあります。その他、動悸のある方、胸の症状のある方、命のあるうちに、是非、下記の病院を受診してください。

  • 東北厚生年金病院循環器センター: 片平美明、菅原重生、山中多聞、山口佑、仁田桂子 022-259-1221
  • 宮城社会保険病院循環器科: 秋野能久、花立安志、亀山剛義、渡辺誠 022-248-0161
  • 渋民病院:秋保洋 019-683-2336
  • 高橋ハートクリニック
    • 高橋和彦 0228-59-2005
  • 柿沼循環器科
    • 柿沼義人 0223-32-2871
  • 笠神ハートクリニック
    • 薗部太郎 022-361-8010
  • いづつ内科循環器科
    • 井筒憲司 022-389-1760
  • 山家内科医院
    • 山家喬 022-245-2841

加齢研MEの歴史


心臓病電子医学分野 MECinIDAC

 お手もとに、i-phoneか、スマートフォンをお持ちでしょうか?
 safariを立ち上げ(なぜか私のi-phoneは、初期設定がsafariになってます)ググってpubmedを探してみましょう。 PubmedのHPが出たら、ultrasoundと、heartとtomographyで検索をしてみてください。たくさんの論文が出てきます。そこで、右上のlastのボタンで最終ページまで行ってみましょう。一番古い文献=すなわち、世界で最古の、超音波心臓断層法の論文が出てきます。
 世界最古。
 う~ん、考古学みたいですね。
 さて、では、この、地上で最初の超音波心臓断層法の論文は、いったい、どこで書かれた論文なのでしょうか?
 新しいものは、きっと舶来(死語かな?)に、違いない?
 そんなことはありません
 そう、答えは、地球の上の、他のどの国でも、他のどの大学病院でもなく、ここ、この加齢医学研究所で書かれているわけですね。
 実は、他にも、超音波は俺が世界最初だ?とか、CTの原理は俺が先だ?とか、主張している人間はたくさんいます。
 まあ、世の中にはいろんな人がいて、アブない人もたくさんいますし、商売として、新発明を謳『うた』って(騙『かた』って)いるだけの人もいます。
 ですが、いまは、アメリカの国立医学図書館ベースの医学情報は、みなさんのケータイから1分以内で確かめることができるわけです。
 ほんでもって、調べていただければ、私はウソを言っていないことは、世界のどこからでも、  即!わかっていただける時代になったんですね。
 良い時代になったものです。
 心臓病電子医学分野は、この世界最初の心臓断層法を発明した、私の先々代の田中元直初代教授によって、当時の抗酸菌病研究所の第13番目の部門として設置されました(う~ん、縁起のいい番号ではないか・・・別に裏切るつもりはありません)ので、発足当時から、医学部と工学部が仲良く研究する境界領域の研究室として発展してきたわけです。超音波、人工心臓をはじめとして、様々な医工学共同研究が産学共同で進められてきました。
 ついでですが、Pubmedで、Cardio Ankle Vascular Index (CAVI)も、検索してみてくださりませ。CAVIは、東北大学病院でも計測できますが、脈波伝播速度の国際標準を目指す動脈硬化の指数で、世界最古の論文は私どもの教室のものです。
 すみません。・・・自慢みたいですね。
 その通りか?・・・年寄りの自慢話は嫌われる元ですが、この論文は、たまたま私が書きましたが、加齢研とフクダの共同開発でもあり、一時は加齢医学研究所に「臨床医工学」という寄付講座がございました。  CAVI開発当初には、動脈硬化のパラメータを謳っているのに、弾性率がはっきりした、模擬循環回路でのしっかりしたバックアップになる基本データがありませんでした。  そこで、うちの得意としている人工心臓循環で様々な弾性率の導管に実際に流体を流して、現実の動脈硬化指数のデータ比較を行い、かつ、山羊を使った脈波の動物実験で確認をしたわけです。
 臨床に展開した後でも、世界標準とするべく、ロシアのスモレンスク医学アカデミーやチェコのマサリク大学と、CAVIの国際共同研究を展開してきましたので、国際学術協定を、加齢医学研究所との間に締結しています。
 もしかして? ちょっくらお腹が、メタボな皆様。
 いやあ、欧米人のデブさ加減と動脈硬化は、ヒドイもんですよ。
 国際共同研究の中、日本人のメタボなんて、かわいく思えてきました。
 このCAVIでも見るように、病院で、現実に、患者さんに行う検査にせよ手術にせよ、いまは、いきなり人間!と、いうことはありません。
 できれば数値解析、しっかりした理論解析の下、心臓であればモデル循環回路、急性、慢性の動物実験を経て、初めて、倫理委員会の審査を通して臨床応用になるのが現在の医学研究です。無事に治験、販売が開始された後にも、市販後調査研究があり、それを管理する政策のレギュレーション科学も最近注目されています。
 われわれ心臓病電子医学では、この数値理論から、モデル循環、動物実験、臨床、レギュレーションのすべてにわたって研究を行っています。
 ですから全国、世界各国からいろんなプロジェクトが来て、ドイツやテキサスの人工心臓から、臨床に進んだエバハートの動物実験では世界最長生存記録をマークし、統合医療の脈波診断から、手術ロボット開発まで、いろんな医工学共同研究が産官学共同研究で走っており、頭が悪い当分野の教授には、だれがどう出入りしているのか、だんだん全貌が把握できなくなるほど、いろんな人が錯綜していますが、優秀なスタッフがちゃんと把握してくれていますので大丈夫です。
 電子医学部門時代からの卒業生や先輩方が、各大学や企業、病院に展開してくださっていますので、大学や企業だけでなく、関連病院の人事交流も合わせ、臨床研究も盛んです。東日本震災を受けて、被災地の心血管イベントの発生を予防する実学研究も開始されました。離島、へき地の遠隔診療を可能にする電子診療鞄は、震災の被災地の避難所でも活躍してくれましたし、放射能の風評被害では、生体医工学学会や人工臓器学会などの協力も得ることができました。
ここは研究所です。 新しい研究をすることが使命です。
みなさん、一緒に新しいことやりましょう!

山家智之
更新日時:2012/11/08 19:11:17
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