2014年1月28日火曜日

医療機器を日本から世界へ

残念ながら医療機器の世界では、日本は大幅な輸入超過に陥っており、貿易収支を悪化させ、国家の財政に悪影響を与えているだけではなく、日本人の命が海外からの機器の輸入にかかっていることになるので、患者様の生命の安全保障の面からも大きな問題になる結果にもなる。震災のような大規模な物流の途絶があれば、インプラント機器で医療を要する患者の病態によっては、即刻、生命に直結することにもなる。ところが医療の現場をみれば、扱われる医療機器の多くは外国製であり、サプライが途絶した場合を鑑みれば、安全管理の面で問題無しとは言いにくいところがある。
 日本は、世界でも最大の人工臓器学会の会員数を誇り、生体医工学会は、IEEEや、IFMBEなどのどの国際学術会議と比較しても、非常に多くの医師、看護師、臨床工学技士が参画し、活気のある学会活動を展開している。そこで、例えば人工臓器学会では、循環器学会や胸部外科学会と共同で、厚生労働省や医薬品機構と折衝して、世界で初めての植え込み型人工心臓の国民皆保険制度での保険収載を実現している。東北大学でも開発に貢献して来たが、世界に打って出られる人工臓器も新たに開発が進んでいる。また、日本生体医工学会では、第1種、第2種のME技術協力認定試験を実施しており、機器管理の実際についてオーソライズを行っている。更に先進的な診断機器開発なども行われ、動脈硬化の診断基準のスティッフネスパラメータなどは、日本発のオリジナルな診断の方法論と技術でありながら、世界標準のグローバルスタンダードに挑戦しつつある
 日本の学会は、日本人のために存在するので、最先端の研究や、教育を行うだけでなく、現場に届けるための保険収載などの問題や、現場の管理の技術教育など、リアルワールドでの貢献も進めて行かなくてはならない

2014年1月21日火曜日

東北大学医学部1年生、3年生、4年生、大学院生の屋根瓦方式実習

アメリカのインターン制度、レジデント制度では、医学生の教育システムは、屋根瓦方式と呼ばれています
 どういう方式かというと、インターン1年生は、2年生が教え、インターン2年生はレジデントが教え、レジデントは、病棟スタッフが教えます
 つまり、近い学年が、すぐ後輩を教えるわけですね

 んで、東北大学医学部の基礎修練の学生さんです。
 彼らは、まだ、3年生で、やっと解剖と病理が終わったばかり、内科も外科も授業すら始まっていません。
 ですが、今年も去年も優秀な学生さんで、すでに、人工心臓の実験の概要をつかみ、論文の執筆にかかっています。
 そこで、ピカピカの医学部1年生の研究室訪問に、アメリカのインターンと同じ屋根瓦方式で、教えてもらっているわけです。
 OSCE直前だったにも拘らず、去年うちで基礎修練した4年生の学生さんも、たまたま遊びに来てくれました。
 彼らも、去年は、後輩にこうやって教えてくれていたわけです
 で、今年は、後輩が教えているところも、教えています。

 いわば二段重ね屋根瓦方式


 と、言うところで、大学院医学系研究科の、彼らの先輩にあたる医師が、完全置換型の新しい人工心臓の手術術式も実験していますので、ピカピカの一年生に、実験や手術を見学して教えてもらっています。
 写真を拡大すると、心停止している心電図が見えます
 心臓は止まっていますが、循環は、人工心臓で、流れています


 つまり、大学院生が、医学部生を教え、医学部生は1年生を教え、三段重ね、四段重ねの屋根瓦方式を形成しているわけです。

2014年1月16日木曜日

屋根瓦方式? で、医学部三+四年生、が、一年生に、教える

 うちの教授は怠け者なので、学生さんが働き者です

 研究室訪問の1年生に、基礎修練で来ている有能な三年生が、人工心臓の説明をしています。昨年の基礎修練の学生さんは、実習中のデータをまとめて学会発表し、論文も投稿して査読で査読委員と戦っています。

 ホントは、医学部四年生は、CBT前の時期なので、実質国家試験みたいなものなので、がんばって勉強しなきゃならない時期ですが、なぜか、うちの医局で勉強しています

 と、いうわけで。今日も、屋根瓦方式で、説明をお願いしています

 「屋根瓦方式」と、言うのは、医学部の臨床研修制度で使われる単語です
 研修の指導医は、忙しいので、実質的になかなか教える時間が取れず、レジデントとインターン同士で教え合うことになります。
 例えば、同じ科を研修で廻っているインターンがレジデントから習い、レジデントは指導医から学ぶことになります

 三年生が現在、勉強中、研究中の人工心臓を、本物の患者さんに使われているシステムを、実際に動かしてみせながら、入学したばかりの一年生に説明してもらい、四年生が、CBTの知識も交えて監督します

 ちょうど、胸部外科と麻酔科の先生方が、植え込み型補助人工心臓を、全置換型人工心臓として使う新しい手術法の開発のための実験中、手術や体外循環の主義も観察してもらいました。

 大学なので、学生さんを、次の時代に、のして行くような卒業生に、育って行っていただけるよう、お手伝いしなければなりません。
 



 

2014年1月1日水曜日

恒例の年末症例検討会

 毎年恒例の年末症例検討会、市立病院、県立病院、薬科大病院、宮社保病院、宮城がんセンターなどなど、1年間の今年の症例を、みんな集まって症例を検討させていただいております。
 数えてみたら県内の4241名の循環器疾患の入院患者さん方が、うちで診療を行わせていただいた計算になるようです。この他に外来の患者様方や、他の病院とやり取りしながら診療を進めている病院もあり、ご開業の先輩方との患者さんの受け入れ紹介なども数多いようでした

 いつも興味深い症例の報告がなされますが、今年驚いたのはセファム系のゾロ(・・ではなく、ジェネリックと呼ぶのでした・・・)を、使ったら、まっかっかにアレルギーが出ちゃって、外科のある病院に紹介したら、そっちの病院で採用されているセファムがたまたまジェネリックでない先発品で、ぜんぜんアレルギーなく、摘出せず治療できたということで、ちょっとびっくり。

「だからゾロはダメなんだって・・・」
「いや、逆もまた真なりだから・・・基剤の問題でしょう・・・」

 三人寄れば文殊の知恵
 いい発想のアイデアが出てくることもあります

 名誉教授の田中先生も参加
 「こんなに症例があるのに論文が出ないのは何事だ!」と。

 まあ、いろんな考え方の先生方が集まっていろいろな話をすることで、きのう助からなかった患者も、明日助かるようになることもあります





人工心臓コントローラ


東北大学で実験を重ねてきた植込み型補助人工心臓:EVAHEART 小型コントローラ C02システムの販売が開始されました。
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