2014年11月17日月曜日

人工甘味料は、腸内細菌叢に悪さ? = いまんとこ、サッカリンはペケ

ノンカロリー人工甘味料 (NAS)は、高カロリー食品である砂糖を用いずに食品に甘味を加える手段として100年以上前に開発された。NAS摂取によってカロリー摂取を減らすことにより、体重減少と血糖値の正常化という健康上の有用性がもたらされると考えられている。砂糖を使わないカロリーオフの清涼飲料水やシリアル、デザートなどでよく用いられ、肥満者および耐糖能障害、2型糖尿病患者には推奨されることもある。しかし、NASは血糖を上昇させないという有用性を示す研究結果がある一方で、NASは体重を増加させ2型糖尿病のリスクを増加させるという有害性を示す結果も報告されてきた。このように相反する結果が報告されてきたことには、すでにメタボリックシンドロームを持つ患者がNASを多く摂取しているという背景もある。このような議論があるにもかかわらず、アメリカ食品医薬品局 (FDA)は現在、アメリカ合衆国において6種類の人工甘味料製品の使用を承認している。
多くのNASは摂取後分解されることなく消化管を通過し、腸内細菌叢に直接作用する。腸内細菌叢は健常人と肥満者、糖尿病患者では組成や機能が異なり、逆に腸内細菌叢の違いがメタボリックシンドロームに関連することが分かっている。そこで本研究では、NASが腸内細菌叢の組成や機能を変化させて宿主の耐糖能に影響するかを検討した。
長期のNAS摂取は耐糖能異常を起こすNASの糖代謝に対する影響を検討するため、10週齢のC57 Bl/6マウスの飲み水にサッカリン、スクラロース、アスパルテームを含有する市販の人工甘味料を添加して摂取させる実験を行った。これら3種類のNASは、約5%の人工甘味料と約95%のグルコースからなるものである。対照群には水のみ、水にグルコース、水にショ糖(sucrose)を混ぜたものを摂取させた。人工甘味料の商品名はそれぞれ、「Sucrazit」 (5% サッカリンと95% グルコース)、「Sucralite」 (5% スクラロース含有)、「Sweet’n Low Gold」 (4% アスパルテーム含有)であり、いずれも10%溶液として水に混ぜたものを摂取させた。対照群には水、10%グルコースまたは10%ショ糖の溶液を摂取させた。
摂取開始11週目には、水、グルコース、ショ糖を摂取させたマウスは同様の耐糖能曲線を示したのに対し、上記3種類のNASを摂取したマウスは著明な耐糖能異常を示した

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